おしっこトラブルについて

こどもの頻尿のタイプと治療法について(小児科専門医、教授からのアドバイス)

日付:2019年04月18日

こどもの頻尿の治療法と対策について

1.膀胱炎と尿道炎の治療について

膀胱炎や尿道炎などの感染症による頻尿では、尿の細菌検査を行って、検出された細菌にあった抗生物質(ケフラールやバクタなど)を服用します。

超音波検査などで膀胱や尿道に異常がないかの確認も並行して行います。

軽い膀胱炎では、数日間の抗生剤服用で症状が治まります。

一方で、長期間にわたり症状が持続したり、繰り返したりする場合は、他の疾患が原因となっていることも考えられるので、膀胱造影などの精密検査を行って、疾患を特定して治療する事が必要になります。

2.心因性頻尿の治療について

心因性の頻尿には薬による治療と排尿間隔を開ける生活訓練を行います。

心因性頻尿はたいてい尿意を過度に気にし過ぎることで悪化します。体には何も異常がないので、本来は治療する必要はありません。

長い間、頻尿で苦しまれているお子さんは膀胱に少量の尿が溜まっただけで強い尿意を感じ,トイレに頻繁に行くことで日常生活に支障をきたしてしまいます。

持続する頻尿には、膀胱の過敏性をやわらげ、 膀胱をリラックスさせるお薬の服用が効果的です。お薬は抗コリン薬とよばれるパップフォーやポラキス、ブラダロンなどを使用します

このようなお薬を服用しながら、排尿チャートをもとに排尿間隔の目標をきめて、一回のおっしこの量を増やすような生活を心がけると、徐々に頻尿が良くなっていきます。

また、骨盤底筋訓練やバイオフィードバックなどが有効なことがあります。お薬や生活指導でも改善しない頑固な頻尿には干渉低周波治療法が使用されます。

これは本来、高齢者の難治性頻尿にも使われてきた機材で、体の中に電極を埋め込む方法が用いられてきましたが、最近は皮膚の上からパットを張って行う方法が主流になり、お子さんにも使えるようになりました。

この干渉低周波治療器は、骨盤神経のネットワークに直接作用して膀胱を大きくする効果があります。短期間で膀胱を大きくしたい方には、最も効果がある方法です。

実際の方法としては、下腹部に低周波用シール(パッド)を貼り15分程度干渉低周波で刺激します。これを毎日、約3ヶ月程度続けると多くの方に効果がみられます。強い痛みや重篤な副作用はほとんどないため比較的安全に行えます。

いずれにしても、こどもの頻尿や尿漏れを専門としているドクターの診察をうけることが解決の近道です

多くの患者さんを診察し、治療経験な豊富なドクターほど、対処法も治療方法もよく知っていますので、お子さんに一番あった解決策を見つけられるはずです。是非、一度専門の医療機関へ相談に訪れてみてください。

ドクタープロフィール

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池田裕一
(教授/昭和大学藤が丘病院 小児科)

3000人以上のおしっこトラブルを抱えた子供達を治療し、20年以上大学病院で子供のおしっこトラブルに関連した診断と治療の開発に情熱を捧げてきた小児科医の目から、正しく偏りなくお届けします。