おしっこトラブルについて

頻尿で困っているこどもの割合は?

日付:2019年04月03日

1.こどもの頻尿の原因

頻尿の起こる原因としては膀胱や尿道など泌尿器系の病気により起こるものと、身体的に明らかな原因がなく起こるものとに分類されます。

一般的にはオムツがとれる2〜3歳頃から排尿の自己(随意的)調節が可能となり、4〜5歳までに排尿の機能が成熟します。

しかし何らかの理由により、排尿に関わる機能の成熟が遅れると、おしっこを貯めている間に意図しない(不随意的)膀胱の収縮が起き、その結果として頻尿となります。

不適切な排尿習慣あるいはトイレトレーニングが頻尿や昼間のお漏らしをもたらす場合があります

排尿時の痛みや不快感、残尿感を伴うようなときは、膀胱炎や尿道炎の可能性が疑われます。

病院の診察では尿検査や尿の培養検査が必要です。尿の検査で赤血球や白血球、細菌などがあれば、膀胱炎と診断され、抗生物質による治療が開始されます。

しかし、多くは疾患や異常がみとめられないにも関わらず、頻尿を起こします。これは精神的な要因やストレス、恐怖心などが原因となって起こる「心因性頻尿」です。

この心因性頻尿はお子さんでも多くみられます。排尿には心理的要因が関わってくることが少なくありません。例えば、入学や新学期、試験や試合、発表会や演奏会など緊張する場面でトイレが近くなることは決して珍しくありません。

しかし、この状態が一過性の症状として終わらず、その後も日常生活に支障をきたすほどひんぱんにトイレにいくようになると病気の心配があります。

緊張していない時でも頻尿が起きるのではないかという不安や恐怖心が先立ち、ことさらにトイレを意識してしまう結果、実際に頻繁に尿意を感じるようになってしまい、意識すればするほど、がまんできなくなり慢性的な頻尿のパターンに陥るのです。

これは、繊細でデリケートでナイーブなお子さんによく見られます。

さらに学校や塾、家庭でのストレスをはじめ、いじめや事故などによる精神的負担をきっかけに発症することもよくあります。

心因性頻尿の特徴は、排尿痛や発熱は見られず、おしっこを意識せずに何かに熱中しているときや、夜寝ているときには症状がないことです。お子さんの症状がこのような特徴に当てはまる場合は専門の医師の診察を受けてください。

2.治療が必要になる年齢

膀胱炎による頻尿:1〜2歳のお子さんでも、年齢を問わず治療が必要になります。

膀胱炎以外の頻尿(心因性や過活動膀胱):小学校入学前は幼稚園や保育園の先生が比較的頻繁にトイレに促してくれるので、頻尿でもあまり困らないかもしれませんが、小学校に入学して授業が長かったり、休み時間が短かったりしてトイレに行く時間が作れないと、お子さんはとても困ってしまいます。

以上のことを考慮すると、排尿機能が成熟すると考えられる5〜6歳以降で頻尿に悩んでいるお子さんは診察を受ける必要があります。

どの程度の頻尿の場合に受診が必要かというと、トイレに行く間隔が1時間より短い場合、または日中のトイレ回数が10回以上をひとつの目安としています。

ドクタープロフィール

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池田裕一
(教授/昭和大学藤が丘病院 小児科)

3000人以上のおしっこトラブルを抱えた子供達を治療し、20年以上大学病院で子供のおしっこトラブルに関連した診断と治療の開発に情熱を捧げてきた小児科医の目から、正しく偏りなくお届けします。