おしっこトラブルについて

バイオフィードバックと骨盤体操

日付:2019年04月18日

1.バイオフィードバックとは

私たちの心身は,外界からの刺激に反応して時々刻々変化しています。外部に向けては筋肉を動かしてそれに反応するとともに,内部では自律神経系や内分泌機能などを通じて体内環境を適切に調節しています。しかし,それらの多くは無意識で操作されており,普段の生活では体内状態を意識的に変化させる事態や必要性はほとんどありません.しかし, そのような体内状態を自らが意識できるように訓練することにより,以前はコントロール不可能と考えられていた身体のいろいろな機能を, 意識的に制御することが可能だと分かってきたました。このように意識にのぼらない情報をフィードバックして, 体内の状態を意識的に調節できるようにする技術や現象を総称して,「バイオフィードバック」と呼んでいます。

バイオフィードバックはすでに多くの分野で応用されています。バイオフィードバック療法としては気管支喘息, 高血圧, 不整脈, 頭痛, てんかん ,手足の冷え, 過敏性腸症候群, 円形脱毛症, 自律神経失調状態など種々の病態の治療やその予防に用いられており,また日常の心身の状態を快適に保っておくためのリラクゼーションや健康増進, 競技を前にした運動選手の心身の管理や精神集中のためにもバイオフィードバック訓練が活用されてきています。

2.尿漏れのバイオフィードバック療法

尿漏れにおけるバイオフィードバック療法としては,腹圧性尿失禁の患者さんに対して盛んに行われており,骨盤底筋鍛錬と併用することによって,尿失禁の改善率が上昇することがいつくかの研究から分かってきています。これらのバイオフィードバック療法は器具やセンセーを使って,定量的に筋肉や神経の状態を把握することから始められますが,器具やセンセーがなくても,普段意識していない蓄尿(おしっこを貯めること)と排尿(尿を出すことを)を自分の頭で感じながら行うことで,コントロールが上手になっていきます。

まずは蓄尿段階で,尿が溜まってくる状態を感じとってください。まだまだ,もう少し貯められそう,そろそろ一杯になりそう,一杯たまった,もう我慢出来ない,など膀胱への尿の貯まり具合意識してみてください。次に排尿段階では,尿が膀胱から出て行く状態を感じとってください。尿道括約筋(おしっこを止める筋肉)を広げ,つぎに尿が排泄されてきます。可能であれば,排尿直後に,尿道括約筋に力をいれて排尿を中断し,数秒間我慢して閉まっている感覚を覚えてください。そして再度尿道括約筋を広げ,排尿して,膀胱が空になっていく感覚を覚えてください。最後にお腹に力をいれて,最後の一滴まで排尿する感じで尿を出しきってください。これら一連の行動を,意識下に行うことで,尿をためる,尿を出す感覚がよく理解できるようになり,結果として尿を貯めたり,出したりするコントロールが上手に出来るようなってきます。昭和大学藤が丘病院小児科の尿トラブル外来では,実際の手順について詳しく指導していますので,興味のある方はドクターから指導を受けてください。きっと日々の生活の改善にも役にたつとおもいます。

3.骨盤底筋体操について

軽度の過活動膀胱や腹圧性尿失禁は骨盤底筋体操が有効です。この体操は、尿道や肛門を閉めることにより、骨盤底筋を強くする運動です。この骨盤底筋とは、骨盤の下にあるハンモック状の筋肉群で、膀胱や直腸などの腹部臓器を支えていています。この筋肉にゆるみができると、おもらし、尿意の切迫感など、さまざまな障害が起こることが知られています。骨盤底の筋肉は、幸い手足の筋肉と同じで鍛えやすい場所ですから、早めにケアしておくといいでしょう。

まず、毎日手軽に行える、簡単な体操を紹介します。お子さんで比較的簡単にできる骨盤底筋体操は、おしっこを出し始めた直後に、短期間おしっこ止め、さらに残りのおしっこをだす練習です。慣れないうちは、途中でおしっこを止めることが難しいかもしれませんが、毎日がんばって練習を続けていくと上手に出したり、止めることが出来るようになります。さらに、慣れてくれば、おっしこを止める回数を増やしたり、止める時間を伸ばしたりすることで、より一層骨盤底筋が鍛えられて、おもらしや尿意切迫感が改善します。

中学生以降の比較的高年齢のお子さんで行える骨盤底筋体操の実際は、尿道や肛門の括約筋のどれか一つ、あるいは全部を「ぎゅーっ」と閉めるイメージで行います。そのあとは、ゆっくり括約筋(骨盤底筋群)を緩めます。この「閉める、ゆるめる」が骨盤底筋体操の基本です。「締める」「緩める」を繰り返すことにより、自分で意識しなくても、尿道や他の骨盤底筋群も一緒に締まり、下腹部から股間、肛門の一帯に広がる筋肉を強くします。5秒間閉め、息を吐きながらゆっくりと骨盤底筋群を緩めます。このサイクルを1日20回以上行います。腹圧性尿失禁においては軽症例では30から40%程度の消失率が報告されています。同様に過活動性の尿失禁にも有効と報告されている。