おしっこトラブルについて

昼間のおもらし対策(心理面のケア)

日付:2019年04月18日

1.親の正しい接し方と心理的ケアーの方法

何よりも怒ったり、あさらせたりしないことが一番大切です。普段からお子さんに優しく接しているご両親でも、お漏らしや尿モレを見つけると、心がふさぎ込んだり、将来が心配になったりして,お子さんを必要以上に怒ってしまうことがあると思います。

しかし、怒られているお子さんからすると、「どうして僕の(私の)体のことが分かってくれないの! わざとじゃないのだよ!」、このような気持が積み重なり、怒られるたびに心がふさぎ込んでしまいます。

特に昼間のおもらしは、体の構造や機能に問題がある場合が多く、決して意図してやっている訳ではないので、よりいっそう怒られる事で心がナーバスになって、おもらしを隠すようになります。

怒らない事で、お漏らしやおねしょが治る訳ではありませんが、怒る事は症状を悪化させ、治癒を長引かせる原因となります。

また、おもらし自体が、子どもの心に悪影響を与え,自尊心やセルフイメージを低下させてしまうことがあります。昼間のおもらしが、いじめや登校拒否の原因となることもありますし,尿モレが修学旅行や課外活動の障害となることもありますので、しっかりと,お子さんの日常生活を観察し、おもらしの原因を理解して、一緒に治していこうという心構えで接する事がとても大切です。

まずは2-3週間程度、全くおこらない、叱らない期間を設けて、お子さんの様子を観察してください。きっと今までとは違ったお子さんの一面が見えてくると思います。

また、ADHDや自閉スペクトラム症などのお子さん、心の悩みの問題を抱えている児童にたいしては、児童心理士など心のサポート外来を受診してみましょう。

児童心理士の先生が、子供の心の状態にあわせた、適切なアドバイスや対処法を教えてくださると思います。また、ご両親に話せなかった悩みや相談などを心理士の先生に打ち明けることもよくあります。今まで悩んできたおもらしのことを人に話すことで、心の悩みを解決できることもあります。

昭和大学藤が丘病院小児科では、専門医と児童心理士が協力して心のケア、発達障害の診断と治療に取り組んでいます。

できれば、おもらしや尿漏れが専門の医療機関に併設されている児童心理外来を訪れてみてください。このような医療機関の児童心理士の先生は、おもらしをするお子さんの心をよく理解しており、おもらし対策やサポートにも精通しています。病院受診は面倒に感じると思いますが、勇気をもって医療機関を受診する事が、おもらしを治すうえでとても大切なことだと思います。

ドクタープロフィール

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池田裕一
(教授/昭和大学藤が丘病院 小児科)

3000人以上のおしっこトラブルを抱えた子供達を治療し、20年以上大学病院で子供のおしっこトラブルに関連した診断と治療の開発に情熱を捧げてきた小児科医の目から、正しく偏りなくお届けします。